ポッドキャスト『サブスクサプリ屋 〜不調改善ラジオ〜』#7 より
薬剤師の岡本直也です。先日、私がやっているポッドキャスト『サブスクサプリ屋』に、医師のじゅんこさんがゲストに来てくれました。そのじゅんこさんから、こんな相談を受けたんです。
「学生の頃から、もう20年近くドライアイに悩んでいて。パソコン作業で目がシパシパして痛くなるし、一番つらいのは夜中。目が乾いて痛くて、目が覚めてしまう。枕元に目薬を置いて、さすしかないんです」
かなり重いドライアイです。そして話を聞いていて、私が一番気になったのはここでした。使っている目薬が、ずっと1種類だけだったこと。眼科にもコンタクトのお店にも相談したけれど、出てくるのはいつも同じ「保湿タイプ」の目薬。じゅんこさんは、それが今の自分にできる精一杯だと思っていたんですね。
でも、実はそうじゃないんです。今日は、そのとき番組で話した内容——「ドライアイ、あきらめる前にまだ試せること」を、目薬と栄養の両面から、あらためてまとめてみます。
ドライアイの目薬は「保湿」だけじゃない
じゅんこさんが使っていたのは、ヒアルロン酸で目の表面をうるおす、いわば保湿タイプの目薬でした。よく処方される、定番のお薬です。
ただ、ドライアイと一口に言っても、原因はいくつかに分かれます。ざっくり言うと、涙の「水分量」が足りていないのか、それとも涙が「蒸発しやすい」のか。タイプが違えば、効かせどころも変わってきます。
そして今は、保湿タイプ以外にも目薬の選択肢が増えています。番組では、こんなタイプを紹介しました。
- 涙の「質」を変えるタイプ:まぶたの裏から出る“ネバネバ成分(ムチン)”を増やして、目の表面の水分を蒸発しにくくする
- 涙の「量」を増やすタイプ:そもそもの涙の分泌を後押しして、乾きにくくする
どれも眼科で処方してもらう薬で、人によっては、こうしたタイプをいくつか組み合わせて使っている方もいます。「保湿の目薬でいまひとつ」という場合、別のタイプがまだ残っている——まずはそのことを知ってほしいのです。
去年、また新しい目薬が出ました
もう一つ、番組で盛り上がったのが、去年の年末に登場したばかりの新しい目薬の話です。
ドライアイの人の中には、涙の治療をして状態が良くなっても、目の痛みや、ヒリヒリ・カーッとした灼熱感だけが残ってしまう、という方がいます。じゅんこさんの「夜中に痛くて起きる」も、まさにこの“痛み”のつらさですよね。
その新しい目薬は、目の表面(角膜)にある、痛みや灼熱感を感じ取るセンサーのようなところに働きかけて、その不快な感覚をやわらげる、という新しい発想のものです。乾き対策とは別の角度から、「つらさそのもの」に手を届かせようというお薬です。
まだ出て日が浅く、長期での処方には制限がありますが、今年の年末から来年の初めには十分量を処方してもらえるようになる見込み、という段階です。ドライアイの治療は、今もどんどん進んでいる。だからこそ、数年前に「これで様子見ましょう」と言われたきりの方は、あらためて眼科で相談してみる価値があると思います。

じゅんこさんも医師ですが、「そんな目薬があるなんて知らなかった」と驚いていました。専門家でも、自分の専門の外だと最新事情までは追いきれないもの。遠慮なく「他にどんなタイプがありますか?」と聞いてみる——これが、選択肢を広げる一番の近道です。
温める? 冷やす? 眼精疲労とのつながり
じゅんこさんの不調には、もう一つ面白い特徴がありました。毎日ではなく、画面を遅くまで見ていた日の夜中に、決まって起きる。目の乾きと、目の疲れ(眼精疲労)が、どうやらつながっているんですね。
眼精疲労のケアでよく聞かれるのが、「目を温めるのと冷やすの、どっち?」という質問です。冷やしたほうが気持ちいいので、つい冷たいタオルを当てたくなりますよね。
でも、ドライアイの観点では、温めるほうがおすすめできることが多いです。目の乾きには、まぶたのふちから出る“油の成分”も関わっていて、冷やすと、この油や先ほどのネバネバ成分が出にくくなってしまう。温めると、そのあたりがめぐりやすくなる、というわけです。夜、画面を長く見た日は、蒸しタオルなどで目もとをじんわり温めてみる。手軽にできる一手です。
目の乾きと「栄養」——ビタミンAの話
ここからが、この番組らしい切り口です。実は、目の表面の乾きは、栄養とも関わっていると言われています。
特によく話に出るのが、ビタミンAです。ビタミンAが足りていないと、目の表面が乾きやすくなる、という関連が指摘されています。「ドライアイが強くて長い」という方の背景に、栄養の不足が隠れていることもある、というわけですね。
じゃあビタミンAは何から摂れるのか——これが、ぱっと出てこない人が多いんです。じゅんこさんも「サーモンかな?」と。実際にはシラスやレバーや、緑黄色野菜に含まれるものが体内でビタミンAに変わったりするのですが、「意識して摂っている」という人は意外と少ない栄養素です。ちなみにビタミンDも、ドライアイとの関わりが話題になることがあります。
ただし、ここで大事な注意が一つ。ビタミンAは「多ければいい」ものではありません。とり過ぎが体の負担になることもあるので、サプリメントで補うなら、自己判断で大量に、ではなく、専門家に相談のうえで。この“さじ加減”の話は、次の章にもつながっています。
「ちゃんと食べてるのに足りない」がなぜ起きるか
ビタミンAやDには、共通の特徴があります。脂に溶ける「脂溶性ビタミン」だということ。
ビタミンは大きく二種類に分けられます。水に溶ける水溶性(ビタミンCなど)は、多めに摂っても余った分は尿として出ていくので、比較的おおらかに考えられます。一方、油に溶ける脂溶性は、A・D・E・Kの4つ。こちらは体にため込まれる性質があるので、「とり過ぎ注意」が言われるのはこのグループです。
ところが、話はそう単純でもありません。脂溶性ビタミンは、食事の“脂”と一緒に体に吸収されるという性質があります。ということは——
- 美容や健康のために、油を極端に減らしている
- コレステロールを気にして、脂っこいものを徹底的に避けている
- 脂肪の吸収を抑えるタイプのダイエット薬を飲んでいる
こういう方は、脂と一緒に吸収されるはずのビタミンA・Dまで、うまく取り込めていないことがあるんです。「バランスよく食べているつもりなのに、AもDも低い」。そんなケースは、実際に少なくありません。痩せたくてやっていることが、目の乾きの遠因になっているかもしれない——そう考えると、少し見方が変わりますよね。
「入れる」だけでなく「吸収」まで
ここまでくると、見えてくるのは一つのことです。栄養は、口から入れれば届く、というものではない。ちゃんと吸収されて、はじめて体で使われます。
その吸収の要になるのが、胃腸——腸内環境です。腸の状態が乱れていると、必要なものの吸収が落ちてしまう。番組では、胃や腸の病気で手術を受けた方が、その後どうしても栄養が不足しやすくなる、という例も話しました。ふだん不足しにくい銅やビタミンB12のような栄養素まで足りなくなり、貧血につながることもあります。
もちろん、これは極端な例です。でも「食べているのに、どうも調子が上がらない」という背景に、“吸収”という関門が隠れていることは、決して珍しくありません。目の乾き一つとっても、「入れる」と「吸収する」の両方で考える価値がある、ということです。
まとめ:あきらめる前に、まだ試せる
ドライアイの相談から始まって、目薬・温め・ビタミンA・脂溶性ビタミン・腸と、話はずいぶん広がりました。でも、いちばんお伝えしたいことはシンプルです。
「もうこの目薬しかない」と、
あきらめなくていい。
目薬は、保湿だけでなく、涙の質や量に働くタイプ、痛みにアプローチする新しいタイプへと、選択肢が広がっています。そして、その外側には栄養という切り口もある。治療の幅が広がっている今だからこそ、目薬も栄養も、自分に合うものを一つずつ試していく——それで、ぐっと楽になる方は少なくないと思います。
長く目の乾きに付き合ってきた方こそ、一度立ち止まって、「他に手はないですか?」と眼科で聞いてみてください。まだ、試せることはあります。
注意点
- この記事は一般的な情報をお届けするものです。特定の目薬・サプリ・食品の効果や優劣を保証したり、推奨したりするものではありません。
- 目薬の変更・追加は、必ず眼科医にご相談ください。市販薬で対処し続けて症状が長引く・強いときも、自己判断せず受診を。
- ビタミンAなどの脂溶性ビタミンは「多ければよい」というものではありません。とり過ぎが負担になる場合があるため、サプリでの補給は専門家に相談のうえで。
- 持病のある方・妊娠中の方・治療中の方は、食事やサプリ、市販薬を変える前に、医師や薬剤師にご相談ください。
おわりに
「目薬は1種類だけ」で長年しのいできたじゅんこさんのように、選択肢があること自体を知らないだけ、という方は本当に多いと感じます。今回の話が、「自分もまだ試せることがあるかも」と、眼科で一言たずねてみるきっかけになればうれしいです。
「私はこの方法で目の乾きが楽になった」という体験や、聞いてみたいテーマがあれば、ぜひ感想で教えてください。次回の番組づくりの参考にさせていただきます。
ポッドキャスト『サブスクサプリ屋 〜不調改善ラジオ〜』
薬剤師の「なおさん」と聞き手「ゆんさん」が、日々の“なんとなく不調”を栄養と生活習慣の視点でやさしく語る番組です。今回のドライアイの回は、医師のじゅんこさんをゲストにお届けしました。耳からもぜひどうぞ。
免責:本記事は一般的な健康情報の提供を目的としたもので、特定の医薬品・サプリ・食品の効果や優劣を保証・推奨するものではなく、診断・治療に代わるものではありません。目薬をはじめとする治療の変更・追加、サプリメントの利用は、必ず医師・薬剤師など専門家にご相談ください。症状が続く・強い場合は、自己判断せず医療機関を受診してください。





















