薬剤師の岡本直也です。先日、私がやっているポッドキャスト『サブスクサプリ屋』で、聞き手のゆんさんから「肌にいいサプリ、教えてください」と聞かれました。お友達が肌荒れに悩んでいて、なかなか良くならないのだそうです。

とても自然な質問だと思います。でも、私がお返しした答えは、ちょっと意外なものだったかもしれません。「“これを飲めば治る”は、実は薬の発想なんです」。今日は、そのとき番組でお話しした内容——肌トラブルを「体からのSOS」ととらえ直す、栄養からの見方を、あらためて私なりにまとめてみます。

「これを飲めば」は、薬の発想

肌の調子が悪いとき、つい「肌にいいものを一つ足そう」と考えますよね。ビタミンCを飲んでみる、話題のサプリを試してみる——。私自身、患者さんからよく相談を受けます。

ただ、ここで一度立ち止まってほしいのです。「〇〇したいから、これを使う」というのは、薬の考え方に近いもの。薬は、いわば体を外から動かして、目的の方向へ持っていく働きをします。

一方でサプリメントや食べ物の栄養は、少し発想がちがいます。もともと体の中にある材料、体の中で使われている栄養素を補って、本来の働きを後押しする——そういう位置づけのものです。だから「これさえ飲めば必ず良くなる」という考え方とは、そもそも相性がよくありません。(そういう作用を断定できるものは、もう“薬”の領域の話になってしまいます。)

肌荒れは「体からのSOS」

では、肌の調子はどんなときに崩れるのか。番組の中でゆんさんが、とても良い言葉にしてくれました。「体のSOSが、肌に出ている」

肌荒れそのものを叩こうとするのではなく、「体がどこかで困っていて、そのサインが肌に表れている」ととらえてみる。すると、見るべき場所が変わってきます。

そして大事なのは、そのSOSの発信源は人によってちがうということ。寝不足、乾燥、腸内環境の乱れ、鉄・ビタミン・タンパク質の不足……原因が人それぞれである以上、「みんなにこれ」という正解も存在しません。だからこそ、自分のSOSがどこから来ているのかを一つずつ読み解いていく——このアプローチが遠回りに見えて、いちばん近道だったりします。

ちなみに、いちばん多い“隠れSOS”は寝不足かもしれません。睡眠が足りていないと、ほかに何をしても土台が揺らいでしまう。まずここを整えるだけで、という方は少なくありません。

「美容のためのカロリー制限」が裏目に出ることも

意外と見落とされがちなのが、エネルギー(カロリー)不足です。

「美容のために食事を減らす」という方は多いですよね。でも、カロリーは決して悪者ではありません。体は、生きるための活動にエネルギーを最優先で回します。もしカロリーが足りないと、せっかくとったタンパク質やアミノ酸まで、肌の材料ではなく“活動のためのガソリン”に回されてしまうのです。

イメージしやすいのは、体の中の優先順位。命に直結するエネルギーが先で、肌や髪、爪は「後回し」にされやすい。土台が満たされて初めて、上の階(肌や髪の美しさ)に手が回る——そんな見方をすると、腑に落ちる気がします。

裏を返せば、ささくれや抜け毛といった“ちょっとした不調”は、体が「土台のほうで手一杯です」と教えてくれているのかもしれません。

「赤身のお肉」が栄養の宝庫

土台を支える食べ物として番組で話題にのぼったのが、赤身のお肉です。「きれいな肌をつくるなら「赤いお肉」を食べなさい」という本を書いているお医者さんもいるほど。

赤身肉には、肌の材料になるタンパク質に加えて、鉄やビタミンB12といった栄養素がまとめて含まれています。同じお肉でも、鉄という点では、色の白い鶏肉より、牛や豚の赤身のほうが多く含まれる傾向があります。

実際、動物性タンパク質の摂取が少ない方に肌トラブルが多い、という関連を指摘する研究もあります。ただしこれは「食べれば治る」という因果関係の話ではなく、あくまで関連が見られるという段階のもの。そして、お肉が体に合う・合わないは人それぞれです。「万人にこれ」ではなく、「自分には合うか」を見ていく——ここでも基本の姿勢は同じです。

食べても栄養が届かない? 「消化」という関門

「じゃあお肉をたくさん食べれば安心」かというと、もう一つ関門があります。消化と吸収です。

どれだけ栄養をとっても、消化・吸収がうまくいかなければ、体には届きません。そして消化する力は、年齢とともにゆるやかに下がっていくと言われます。「けっこう食べているのに、なんだか調子が上がってこない」という場合、消化のほうに手こずっているサインかもしれません(血液検査である程度推し量れることもあります)。

ここで見落とされがちなのが、消化そのものにもエネルギーを使うという事実です。エネルギーが足りない人は、消化に回す力も足りず、さらに吸収が悪くなり、また消化が弱まる……という悪循環に入りやすい。「食べているのに元気が出ない」の背景に、こんなループが隠れていることがあります。

消化がゆっくりな人の一手「ペプチド」

そこで、番組で紹介したのがペプチドです。聞き慣れない言葉かもしれないので、簡単に整理します。

  • タンパク質:アミノ酸がたくさんつながった、大きなかたまり
  • ペプチド:それをある程度こまかく“ざく切り”にしたもの(アミノ酸が2〜3個つながった状態)
  • アミノ酸:さらにこまかくした、いちばん小さな単位

ペプチドは、タンパク質より小さくほどけている状態なので、そのぶん体の負担が少なく扱いやすいとされています。消化の力がゆっくりな人にとっては、無理なく取り入れやすい選択肢の一つ、というわけです。

最近は「ペプチドスープ」も少しずつ見かけるようになりました。使い方のコツは、サプリとして身構えるより、ふだんの食事にちょい足しすること。お味噌汁にペプチドスープの素を少し加えて栄養価を底上げする、といった具合です。「食事そのものの中身を上げる」ほうが、無理なく続けやすいと思います。

おまけ:食後に眠くなるのは?

ゆんさんから「食べたあとに強烈に眠くなるのは、消化力とエネルギー、どっちのサイン?」という質問がありました。

どちらの可能性もありますが、多いのは血糖値の激しいアップダウンです。急に上がって急に下がる、その落差で眠気が来る、というパターン。ランチのあとにいつも眠くなる方は、食べるものを少し変えるだけで、午後の眠気が軽くなることもあります(私自身、そうでした)。

まとめ:肌は、土台の“その先”についてくる

長くなりましたが、この回でいちばんお伝えしたいのは、とてもシンプルなことです。

「これを飲めば」ではなく、
まず自分のベース(睡眠・食事・消化)を整える。
肌は、その先についてくる。

肌や爪、髪は、体にとって“いちばん後回し”にされやすい場所。だからこそ、そこに不調が出たときは、土台のどこかがSOSを出しているサインかもしれません。原因は人それぞれ。自分のSOSがどこから来ているのかを、一つずつ見ていってみてください。

注意点

  • この記事は一般的な情報をお届けするものです。特定の食品・サプリ・治療の効果を保証したり、良し悪しを断定したりするものではありません。
  • 肌の症状が続く・強いとき、急に悪化したときは、自己判断せず皮膚科など医療機関にご相談ください。
  • 持病のある方(糖尿病・腎臓病・貧血など)・妊娠中の方・治療中の方は、食事やサプリを変える前に、医師や薬剤師にご相談ください。
  • 鉄などの栄養素は「多ければよい」というものではありません。とりすぎが負担になる場合もあるため、サプリでの補給は専門家に相談のうえで。

おわりに

「肌にいいサプリは?」という質問から始まって、SOS・エネルギー・お肉・消化・ペプチドと、話はずいぶん広がりました。共通しているのは、症状を一つの“正解”で叩こうとせず、自分の体の声を読み解いていこう、というメッセージです。

「私はこれで肌の調子が変わった」という体験や、聞いてみたいテーマがあれば、ぜひ感想で教えてください。次回の番組づくりの参考にさせていただきます。

ポッドキャスト『サブスクサプリ屋 〜不調改善ラジオ〜』

薬剤師の「なおさん」と聞き手「ゆんさん」が、日々の“なんとなく不調”を栄養と生活習慣の視点でやさしく語る番組です。今回の肌とペプチドの話も、ぜひ耳からどうぞ。

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免責:本記事は一般的な健康・栄養情報の提供を目的としたもので、特定の疾患の診断・治療・予防を目的とするものではなく、医療行為の代替となるものではありません。効果・効能を保証するものではありません。症状が続く・強い場合や、持病のある方・妊娠中の方・治療中の方は、自己判断せず医師・薬剤師等の専門家にご相談ください。