ポッドキャスト『サブスクサプリ屋 〜不調改善ラジオ〜』#12 より

薬剤師の岡本直也です。

私、宮城で毎年やっている健康経営の勉強会の企画に、担当の方と一緒に入らせてもらっているんですが、今年のテーマはメンタルヘルスに決まりました。なんでメンタルヘルスにしたんですかと聞いたら、「どこの企業さんと話しても、メンタルヘルスの話が出るんです。これをやるしかないなと思って」と。なるほどなと思いました。

実際、私の周りでも、うつ病と診断された方もいるし、診断はされていないけどそれに近い感じの方もいて、増えているなという感覚はあります。やる気が出ない、気持ちが沈む、ある日突然会社に来られなくなる、休職する、辞めてしまう。そういう話です。

一人辞めると、会社には結構な穴があく

これ、本人がつらいのはもちろんなんですけど、会社の側から見ても結構深刻なんですよね。

社員の方が一人辞めると、その人がやっていた仕事を誰かが肩代わりしないといけない。その分の残業代がかかるし、新しく人を採るための採用費もかかる。サポートに入るのはたいてい管理職の方なので、管理職の方が本来やるべき仕事ができなくなる。そういうのを全部足すと、辞めた人の年収の2〜3倍くらいの損失になる、とも言われています。

ゆんさんが「穴があいちゃうってことですもんね」と言っていましたが、本当にそうで、その穴を埋めるのにすごくお金がかかるんです。

アプリを入れるだけでは、足りなかった

じゃあ会社として何をすればいいのか。これはまだ全然結論が出ていない話だと思います。

ただ、この前ちょっと面白い論文を読みました。オーストラリアの研究で、会社でアプリを使ったプログラムを導入したら、うつ病の発症を防げるか、症状が軽くなるか、というのを調べたものです。

アプリでは、行動のヒントが出たり、マインドフルネスを一緒にやってみましょうという課題が出たりして、1日5分から10分くらい取り組む。もう一方のグループは、健康情報だけを受け取る。この二つを比べていました。

結果は、うつ病の発症を防ぐ効果は見られなかったそうです。ただ、もともとうつっぽい症状があった人は、少し症状が軽くなっていた。

なので、アプリに意味がないとまでは言えないんですけど、アプリを入れるだけで何とかなる、というものでもなさそうです。もう少し一人ひとりに合わせた、具体的なアプローチが必要なんだろうなと思いました。

「セロトニン不足」は、実は仮説だった

原因の話でいうと、この前NHKでうつ病の特集をやっていて、これがすごく面白かったです。

うつ病の原因って、今まではセロトニン、いわゆる「幸せホルモン」と呼ばれているものが足りないから、と言われてきました。実際、今使われている抗うつ薬も、セロトニンを増やすタイプのものが中心です。

ただ、このセロトニン説も、厳密に言うともともと仮説だったんですよね。研究が進んできて、セロトニンよりももっと大きく影響している要因があるんじゃないか、と言われるようになってきています。医学って、こうやってどんどん更新されていくんだなと思います。

じゃあ何かというと、脳の神経が弱っている、ということらしいです。神経と神経のつなぎ目をシナプスと言いますが、そのシナプスが減ったり、脳の中のネットワークが縮んでしまったり。あとは、脳の細胞が炎症を起こしていて、そのせいで脳がうまく働かなくなっている、という話もありました。

炎症を減らすために、食事が注目されている

で、その炎症をどう減らすか、というところで注目されていたのが、食事だったんです。

番組で紹介されていたのは、まず糖尿病の方や肥満の方は、うつ病のリスクも高いということ。そのうえで、野菜や果物、発酵食品をしっかりとるのが、炎症を抑えて、腸内環境を良くすることにつながるのでいいよね、という話でした。

逆に良くないとされていたのが、超加工食品です。腸内環境を悪くして、炎症につながりやすい。前に読んだ論文で、超加工食品をよく食べる人は歯ぐきの炎症も悪化しやすい、というのもありました。結局、炎症というのが共通しているんですよね。

食事を変えればうつ病が治る、という話ではないです。今つらい方は、まずは医療機関や職場の産業医、相談窓口に相談してください。治療中のお薬も、自己判断でやめたりせず主治医に相談を。そのうえで、毎日の食事も実はつながっているかもしれない、という話です。

食事って、環境に左右される

ゆんさんが「結構、運ゲーみたいなところありますよね」と言っていて、これは本当にそうだなと思いました。

家の近くにちゃんとしたご飯屋さんがあるかどうか。コンビニしかない、という人もいますよね。職場環境もあって、夜中まで残業してヘトヘトで帰ってきて、そこから栄養のある食事を、というのはやっぱり難しいと思います。

ゆんさんからは、冷凍のお弁当とか宅食みたいなものを夜に食べられたらいいんじゃないか、という話も出ました。自分で自炊できるのが一番だとは思いますけど、それができない環境の人は多いので、超加工食品ばかりになるよりは、ずっといいと思います。

あとゆんさんは、パックご飯って今1パック200円くらいするから、1合だけ15〜20分で炊ける炊飯器を買って、卵かけご飯とか納豆ご飯をすぐ食べられるようにしておく、と言っていました。こういう仕組みを作っておくだけでも、結構違うと思います。

お金はかかるので、すぐに実感できることを求めたくなるんですけど、そこにこだわりすぎずに、ちょっと長い目で自分の体に投資する、というのは必要なのかなと思っています。

親から受け継いだやり方、そのままでいいのか

最後に、ゆんさんと話していて出てきたのが、食習慣って親や家族の文化に結構影響される、ということです。

親のやり方をそのまま受け継ぐのって、親が健康であることが前提になるじゃないですか。もし親の栄養状態があまり良くなかったとしたら、その家の「普通」は、栄養が足りない普通かもしれないんですよね。

親のやり方が悪いという話ではないです。全部一気に変えなくてもいいので、何パーセントかずつ、今の自分に合うものを選んでいく。それくらいでいいのかなと思っています。

うつの話から食生活の話になりましたけど、実はつながっていたみたいです。今日はここまで。

注意点

  • この記事は一般的な情報です。特定の食品・サプリ・治療の効果を保証するものではありません。
  • 気分の落ち込みや意欲の低下が続く、眠れない、仕事や生活に支障が出ている、というときは、ひとりで抱えずに医療機関(心療内科・精神科・かかりつけ医)や職場の産業医、相談窓口に相談してください。
  • 治療中のお薬は、自己判断でやめたり減らしたりせず、主治医に相談してください。

ポッドキャスト『サブスクサプリ屋 〜不調改善ラジオ〜』

薬剤師の「なおさん」と聞き手「ゆんさん」が、日々の“なんとなく不調”を栄養と生活習慣の視点でやさしく語る番組です。今回のメンタルヘルスの回も、耳からぜひどうぞ。

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免責:本記事は一般的な健康情報の提供を目的としたもので、特定の医薬品・サプリメント・食品の効果を保証・推奨するものではなく、診断・治療に代わるものではありません。気分の落ち込みなどが続く場合は、ひとりで抱えずに医療機関や相談窓口にご相談ください。治療中のお薬の中止・変更は、必ず主治医にご相談ください。