ポッドキャスト『サブスクサプリ屋 〜不調改善ラジオ〜』#10 より
薬剤師の岡本直也です。
この前の収録で、聞き手のゆんさんからこんな話を聞きました。なじみのお店が急に閉まってしまって、なんで閉めたのか聞いたら、店主さんが認知症になったからだった、と。最近そういう話を結構耳にするらしくて、「認知症って、そんなに突然いろんなものを終わらせてしまう病気なんですか。治せたりしないんですか」と聞かれたんです。
正直、答えにくい質問でした。薬局でお薬をお渡しするときも、在宅医療でご自宅に伺うときも、認知症の方にはたくさん会ってきましたけど、どうやったら良くなるのかは本当に難しいところで。
「これをやれば治る」は、まだない
今の医学だと、これをやれば認知症が治る、という方法はまだないんですよね。
薬はあります。落ちてきた脳の働きを助ける薬もあるし、認知症になって怒りっぽくなった方に、そういう症状を出にくくする薬もあります。
ただ、認知症の薬で難しいのが、ずっと飲み続ければずっと進行を抑えられるか、というとそうでもないところなんです。あるところまで来ると、飲んでいても飲んでいなくてもあまり変わらない、という段階に入ってしまう。私が読んだ論文の中には、思っていたよりずっと短い期間でそうなる、というものもありました。認知症とのお付き合いは長くなることが多いので、これはちょっと驚きました。
薬をやめていい、という話ではないので、念のため書いておきます。今飲んでいる薬は、自己判断でやめたり減らしたりしないで、主治医や薬剤師に相談してください。
体は元気で、見守りが長く続く
認知症というと寝たきりのイメージを持つ方もいるかもしれませんが、認知機能だけが落ちて、体はすごく元気、食事も普通にとれる、という方も結構いらっしゃいます。そうなると見守りがずっと必要で、その期間も長い。ご家族は本当に大変だと思います。
在宅で伺っていてよく見てきたのが、ご家族のほうが受け入れられない、というケースです。自分の親が認知症だということを、なかなか受け止められない。それで「なんでこんなこともできないの」と、きつく当たってしまったりする。
でも、認知症の方って、認知機能が落ちているだけで、その人の自我ははっきりしていることがあるんです。分かっているのに強く言われる。ご本人もすごくつらいんですよね。周りがそこをどう理解するか、が大きいなと思っています。
「世界の見え方がちょっと違うだけ」
周りが理解するのに、私がいいなと思っている本があって、『認知症世界の歩き方』という本です。
認知症の方を「病気の人」として見るんじゃなくて、世界の見え方がちょっと違うだけ、という感覚で見られるようになる本です。人ってもともと全員違うじゃないですか。それと同じで、違いがあるだけ、みたいな。ご家族が認知症になって戸惑っている方には、一度読んでみてほしいです。
サプリでどうにかならないのか
ゆんさんからは「サプリでどうにかなる話でもないんですか」とも聞かれました。
これ、というものは今のところないです。NMNのような、アンチエイジングで話題のものが認知症を抑えられるかも、と期待されて研究されていたりもしますが、薬とは違うので、それだけでどうにかなるものではないです。
認知症がなぜ起きるのかはいろんな説がありますが、今一番有力なのは、脳の中にあるタンパク質がどんどんたまっていく、というものです。ここがもっと分かってくれば、栄養でどう防いでいくかも見えてくるのかなと期待しています。栄養はもちろん大事なんですけどね。
一番大事なのは、人と関わること
じゃあ今何ができるのかというと、私は人と関わることだと思っています。
最近「フレイル」という言葉をよく聞くようになりました。日本語だと「虚弱」で、介護が必要になる一歩手前の状態のことです。フレイルが進むと、認知症のリスクも上がっていきます。
で、このフレイルを進ませないために一番大事だと言われているのが、社会活動なんです。会社でいろんな人と仕事をするのも社会活動だし、地域のコミュニティで活動するのもそうです。
面白いのが、運動をすごく頑張っている人や、音楽や将棋みたいな文化活動を一生懸命やっている人がフレイルになりにくいかというと、意外とそうでもないんですよね。社会の中で活動している人が一番なりにくい、という話なんです。
元気なお年寄りって、いますよね。すごいなと思う方。そういう方って、何かしら役割を持って動いているんですよ。仕事に限らず、子どもに何かを教えているとか、ずっと何かのプロだったとか。役割、なんですよね、本当に。
山田先生が紹介していたこと
アメリカで老年医学の医師をしている山田先生という方が、認知症についての情報をよく発信してくれていて、この前YouTubeで、認知症のリスクを下げる可能性があるものを紹介していました。これが結構面白かったです。
まずお酒。飲む量が多くなるとリスクが上がる、というものです。
あと、へえと思ったのが部屋の換気。空気が悪い、煙やほこりみたいな細かいゴミが多い環境だと、認知症のリスクが上がるんじゃないか、という話でした。
難聴も入っていました。これは私の経験でもよくあって、耳が聞こえにくくなると、人と話すのがだんだん怖くなって、自分の世界に閉じこもりやすくなるんです。
ほかには運動と、私もすごく同意している人との交流。ここでもやっぱり、役割を持つことが出てきました。
男性は、友達が少ない問題
ゆんさんが「男の人って、友達みたいな人が少ないですよね」と言っていて、これは本当にそうだなと思いました。
特に、仕事をバリバリやっていた方。中小企業の社長さんだったり、それなりの企業の役員さんだったり。役職があるうちは、社員の方が敬意を持って接してくれるし、取引先の人が接待してくれたりもする。でも、役職がなくなった途端に、誰も話しかけてこなくなってしまうんです。
女性は目的のないおしゃべりができる友達がいることが多いけど、男性は用件だけ話して終わり、ゴールのない話が苦手、みたいなところがありますよね。……と書きながら、ちょっと耳が痛いです。
薬や栄養ももちろん大事なんですけど、人とどう関わっているかって、思っている以上に効いてくるのかもしれないです。私ももう少し調べてみて、また何か分かったら書きます。今日はここまで。
注意点
- この記事は一般的な情報です。特定の薬・サプリ・食品の効果を保証したり、おすすめしたりするものではありません。
- もの忘れが気になる、ご家族の様子が心配、というときは、かかりつけ医やもの忘れ外来、地域包括支援センターに相談してください。
- 今飲んでいる薬は、自己判断でやめたり量を変えたりせず、医師や薬剤師に相談してください。
ポッドキャスト『サブスクサプリ屋 〜不調改善ラジオ〜』
薬剤師の「なおさん」と聞き手「ゆんさん」が、日々の“なんとなく不調”を栄養と生活習慣の視点でやさしく語る番組です。今回の認知症の回も、耳からぜひどうぞ。
免責:本記事は一般的な健康情報の提供を目的としたもので、特定の医薬品・サプリメント・食品の効果を保証・推奨するものではなく、診断・治療に代わるものではありません。もの忘れやご家族の様子が気になる場合は、医療機関や地域包括支援センターにご相談ください。服用中のお薬の中止・変更は、必ず医師・薬剤師にご相談ください。





















