今年は例外的に流行が早いですが、10月になると、インフルエンザの予防接種を予約した、という声が増えてきます。受付で渡される予診票を前にして、「いつもの薬は飲んでいていいのかな」「何を伝えたらいいんだろう」と迷うこともあるでしょう。
そんな日に、ぜひ一緒に持っていってほしいのがお薬手帳です。紙でも電子版でも構いません。接種するかどうかを自分で判定するためではなく、接種を担当する医師が、その日の体調と治療の状況を確かめるための材料になります。薬の名前をうろ覚えで説明しなくてすむのも、意外に大きな助けです。
お薬手帳は「飲んでいる薬の一覧」以上のもの
お薬手帳には、現在の処方薬だけでなく、薬の変更や飲み合わせを確認する手がかりが残ります。厚生労働省の案内でも、電子版お薬手帳は服薬情報をまとめて管理でき、薬の情報にアクセスする仕組みが紹介されています。普段は薬局でもらったままバッグに入れっぱなし、という方も、接種日には取り出してみてください。
とくに、複数の医療機関にかかっている方は、接種会場の医師が普段の治療をすべて把握しているとは限りません。血を固まりにくくする薬、免疫に関わる治療薬、治療中の病気がある場合などは、薬の名前と量が分かると話が早くなります。厚生労働省の接種前確認用の資料でも、いつも服用している薬が分かるよう、お薬手帳または薬が分かるコピーの持参が案内されています。
「薬を飲んでいるから接種できない」と決めつける必要はありません。反対に、「いつもの薬だから言わなくていい」とも限りません。接種の可否や当日の対応は、その人の病気、薬、体調、受けるワクチンを踏まえて医師が判断するものです。自己判断で薬を休んだり、飲み方を変えたりせず、まず見せて相談する。ここが出発点になります。
薬の情報は、飲み薬だけではありません。吸入薬、貼り薬、目薬、注射薬なども、ふだん使っているものがあれば伝えましょう。「必要なときだけ」の市販薬や漢方薬、健康食品も、接種の判断で気になる場合があります。全部を暗記しようとせず、手帳や写真で見せる。これなら、問診の短い時間でも取りこぼしが少なくなります。
- 今、続けて飲んでいる薬・使っている薬(市販薬、サプリメントも含む)
- 治療中の病気と、最近薬が変わったこと
- これまでの予防接種後に、発熱や全身の発疹など気になる反応があったか
- 薬、食品、ワクチンの成分などで、強いアレルギー症状を起こしたことがあるか
「少し風邪っぽい」日は、隠さずに伝える
予約していると、「せっかくなので今日受けたい」と思うものです。ただ、当日の体調は予診で大切な情報です。厚生労働省は季節性インフルエンザワクチンについて、発熱している場合や重篤な急性疾患にかかっている場合は接種を受けられないと案内しています。また、基礎疾患がある方などは、あらかじめ医師へ相談が必要な場合があります。
鼻水やのどの違和感だけで、接種できる・できないをここで決めることはできません。体温だけでなく、いつからどんな症状があるか、家族に似た症状の人がいるか、前日から悪化しているかを、そのまま伝えてください。予約を変更するほうがよいのかも含め、接種する医療機関が判断します。無理に元気に見せるより、正直な情報のほうが安全な相談につながります。
お薬手帳が空白でも、あきらめなくて大丈夫
手帳を持っていない、記録が少し前で止まっている、というときもあります。その場合は、薬の袋、薬局でもらった説明書、薬の名前が分かるスマートフォンの写真を持参しましょう。市販薬なら箱の写真でも役に立ちます。薬そのものを持ち歩く必要はありませんが、名前・規格・飲み方が読めるものがあると確認しやすくなります。
予診票に書く内容は、正解を当てるためのテストではありません。「以前の接種後に熱が出た気がする」「薬のアレルギーだったか、よく覚えていない」といった曖昧な記憶も、遠慮せず言葉にしてください。いつ頃、何が起きたかを家族に確認しておけると役立ちますが、分からない部分は分からないまま伝えることも大切です。
電子版お薬手帳を使っている方は、充電とログインの確認もお忘れなく。接種会場で慌てないよう、画面を開けるか前日に一度見ておくと安心です。見せたくない情報がある場合は、受付で「薬の情報だけ見せたい」と伝えてもよいでしょう。
接種後のために、予定を詰めすぎない
季節性インフルエンザワクチンでは、接種した場所の赤み・はれ・痛み、発熱、頭痛、寒気、だるさなどがみられることがあります。厚生労働省は、比較的多くみられる反応は通常2〜3日で消失すると案内しています。一方、発疹、じんましん、息苦しさなど、気になる症状があれば、接種した医療機関へ連絡するなど速やかに相談してください。
接種後の発熱や痛みに備えて、市販の解熱鎮痛薬を先回りで飲み始めることは勧められていません。薬を使う必要が出たときは、すでに飲んでいる薬や持病によって選び方が変わります。手元にある薬を自己流で重ねず、接種先・かかりつけ医・薬局に確認してください。お薬手帳は、帰宅後に相談するときにも役立ちます。
10月の予約、バッグに一冊を
インフルエンザは例年12月から4月頃に流行し、厚生労働省は12月中旬までに接種を終えることが望ましいとしています。接種時期や費用、対象者は自治体や医療機関で異なりますので、予約先の案内も確認しましょう。家族分をまとめて予約した場合も、手帳は一人ひとり分を用意しておくと、当日の確認が落ち着いてできます。
「こういう薬を飲んでいます」「前回こういうことがありました」と、あなたの状況を正確に伝えるためのものです。接種日が近づいたら、予診票と一緒にバッグへ。薬のことで迷ったら、N9薬局でも一緒に確認します。
※この記事は一般的な情報です。個別の接種可否や服薬の指示ではありません。接種当日の体調や治療中の病気・薬については、接種を行う医師、かかりつけ医、薬剤師に相談してください。





















