なんとなく疲れが抜けない。頭が重い。夜になると胸がムカムカする。夏になると食欲が落ちて、そうめんとフルーツばかり――。

病院に行くほどではないけれど、ずっと付き合っている小さな不調。こうした悩みを、私たちはつい「歳だから」「みんなそうだから」と“しょうがない”で片づけてしまいがちです。

この記事は、ポッドキャスト『サブスクサプリ屋 〜不調改善ラジオ〜』第2回で、話し手の「なおさん」が聞き手の「ゆんさん」と話した内容をもとにまとめました。テーマは、医療と栄養の“役割の違い”。読み終わるころには、「当たり前」と思っていた不調に、少し違う見方ができるかもしれません。

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悩みの1位は「健康」。なのに、つい後回しにしてしまう

あるバラエティ番組で、「人の悩みランキング」の1位が“健康”だった、という話がありました。

みんな、健康にはこんなに悩んでいる。それなのに、いざ健康のために時間やお金を向けようとすると、つい後回しになってしまう。私自身も薬剤師として働き始めたころは、正直、自分の健康にはあまり意識が向いていませんでした。

これは不思議なようでいて、理由があると思っています。日本では、保険が効く医療はとても身近で、ありがたい仕組みです。その一方で、「保険の範囲でできることまで」と自然に線を引いてしまい、それ以外の選択肢は”そこまでしなくても”と後回しになりやすい。悪いことではありません。ただ、その線引きが、体の調子を整えるための一歩を、少しだけ遠ざけていることもあるのです。

「マイナスを0にするのが医療、0をプラスにするのが栄養」

▲ マイナス(病気)を0に戻すのが医療、0からプラス(より良い状態)へ押し上げるのが栄養・生活習慣、という役割の違い

ここで、私がいつも大切にしている考え方のご紹介です。

体の状態を数直線でイメージしてみてください。病気は、いわばマイナスの領域です。そのマイナスを0(フラットな状態)に戻すのが、保険医療=お薬の得意分野です。ここは、医療にしかできない大切な役割です。

一方で、病名はつかないけれど「なんとなく疲れやすい」「肌の調子が揺らぐ」「眠りが浅い」といった不調は、0の手前でくすぶっている状態かもしれません。この0から、より良い状態(プラス)へ押し上げていく。ここは、栄養や生活習慣が力を発揮しやすい領域だと考えています。

病院は「病気を治す(マイナスを0にする)」場所であって、「もっと元気にする(0をプラスにする)」ことを目的にした場所ではありません。役割が違うのです。この違いを知っておくだけで、「どこに相談すればいいか分からない不調」との付き合い方が変わってきます。

まず「マイナスを減らす」──コップの穴を塞ぐ発想

もう一つ、大事にしている考え方があります。それは、足す前に、こぼれている原因を減らすという視点です。

穴の空いたコップに、いくら水を注いでも溜まりません。まずは穴を塞ぐ。体も同じで、調子を崩す“マイナス要因”が続いたままだと、良いものを足しても土台が整いにくいことがあります。

たとえば私は、以前はラーメンが大好きでした。でも今は、ほとんど食べません。食べたあとに眠くなったり、なんとなく調子が下がる感じがあったりして、それなら別のものでいいかな、と思うようになってしまいました。※〇〇しました・・・と書くと不本意そうですが、そんなことはありません(笑)

食べるときも、具を全部乗せにして、麺は少なめに。がまんというより、そのほうが気持ちよく食べられるからです。「ゼロか百か」ではなく、こういう小さな調整の積み重ねが、コップの穴を少しずつ塞いでいくのだと思います。

薬で届きにくい不調に、栄養の視点を

現場に長くいると、お薬だけでは届きにくい不調にたくさん出会います。

たとえば片頭痛。今はよいお薬もいろいろありますが、それでも「どれを試してもつらい」という方がいらっしゃいます。そういうとき、栄養など全く別の切り口からアプローチして、体調の土台が整っていく方もいます(※お薬が有効な場面も多くあります。自己判断で中断せず、必ず主治医・薬剤師にご相談ください)。

夏バテも身近な例です。暑いと食欲が落ちて、そうめんやフルーツが中心になりがち。このとき不足しやすいのがタンパク質です。実は、食べたものを消化する胃酸のはたらきにも、タンパク質は深く関わっています。タンパク質が足りない → 消化する力が落ちる → さらに食べられない → もっとタンパク質が入ってこない…という悪循環に入りやすいのです。「夏はこういうもの」と片づける前に、少し見直す余地があるかもしれません。

夜寝るときの胸のムカムカ(胸やけ)や、お腹の張り・便秘に悩む方も多くいます。私自身、以前はずっと胸やけがありました。振り返ると、原因の一つはカフェインの摂りすぎだったように思います。コーヒー、紅茶、エナジードリンクが大好きな方は少なくありません。カフェインは“元気の前借り”のような面もあり、量とタイミングを見直すと、体の感じ方が変わることがあります。

「甘いもの・激辛がやめられない」の裏側(ひとつの見方として)

ここからは、はっきり証明された話ではなく、栄養の分野で語られるひとつの見方として受け取ってください。

「甘いものがやめられない」「激辛がやめられない」。その背景に、エネルギー不足や鉄が不足しがちな状態が隠れていることがある、と言われます。エネルギーが足りないと、手っ取り早く外から“刺激”や糖でおぎなおうとする――そんな説明です。私自身、体のバランスが崩れていた時期は、なぜか激辛を強く欲していました。今はその欲求がほとんどありません。

もちろん、好みは人それぞれです。ただ、「どうしてもやめられない」ものがあるとき、その裏に体からのサインが隠れていないか、一度立ち止まってみる価値はあると思います。

大切な順番──まず病院、その上で栄養を“上乗せ”

ここでいちばん強調したいのが、順番です。

気になる症状があるときは、まず医療機関を受診してください。たとえば「疲れやすさは鉄が足りないからかな」と思っていたら、実際には甲状腺など別の病気が隠れていた、ということもあり得ます。病気(マイナス)は、まず医療で0へ。その上で、0からプラスへ押し上げるところを栄養や生活習慣で“上乗せ”していく。この組み合わせが、体の調子を保つうえで大切だと考えています。

最後にもう一つ。「タンパク質はプロテインを飲めば大丈夫」と思われがちですが、実は吸収という視点が抜け落ちていることがあります。がんばって飲んでいても、うまく吸収できていなければ届きにくい。ここは奥が深いので、また別の回でお話しできればと思います。

こんなときは、医療機関へ

  • 強い痛み、高熱、息苦しさ、急な体調の変化があるとき
  • 症状が長く続く、だんだん悪くなっているとき
  • 持病があり、お薬を服用中のとき

こうした場合は、自己判断せず、医療機関を受診してください。「受診したほうがいいか迷う」段階のご相談も歓迎です。

まとめ──「しょうがない」を、一度手放してみる

「これは体質だから」「歳だから」「みんなそうだから」。その“当たり前”を一度手放してみると、案外ラクになることがあります。

  • 病気(マイナス)を0に戻すのは、医療の得意分野
  • 病名のつかない不調を0からプラスへ押し上げるのは、栄養・生活習慣が力を発揮しやすい領域
  • まずマイナスを減らし(コップの穴を塞ぐ)、その上で足していく
  • 迷ったら、まず病院。その上で、栄養を上乗せする

こうした話は、相談できる相手がいないと、なかなか出てこないものです。番組が、その“気づき”のきっかけになればうれしいです。

ポッドキャストを聞く:『サブスクサプリ屋 〜不調改善ラジオ〜』第2回。SpotifyまたはAmazon Musicで、アプリで「サブスクサプリ」と検索してみてください。

相談してみる:気になる不調は、公式LINEからお気軽にどうぞ。