ポッドキャスト『サブスクサプリ屋 〜不調改善ラジオ〜』#8 より

薬剤師の岡本直也です。前回に続いて、医師のじゅんこさんをゲストに迎えた回のお話です。今回、じゅんこさんが投げかけてくれたのは、こんな問いでした。

「職場に、痛み止めを飲みながら働いている人がけっこういるんです。あれって、本当に大丈夫なんでしょうか?」

とても大事な問いだと思います。私の知り合いの看護師さんも、「周りの看護師はみんな痛み止めを持って仕事をしている」と話していました。頭痛、腰痛、生理痛、胃の不調——なにかしらを抱えて、痛み止めでしのぎながら働くのが“当たり前”になっている。そんな方は、きっとあなたの職場にもいるはずです。

痛み止めは、悪者ではありません。むしろ、とてもいい薬です。ただ、飲み方や向き合い方には、知っておいてほしいことがあります。今日は番組で話した「痛み止めを飲みながら働くリスク」を、痛みの“奥”にあるものと合わせて、あらためてまとめてみます。

痛みは「消す」より、まず「読む」

痛み止めを飲むと、痛みはすっと引きます。仕事を続けるためには、ありがたい効果です。

でも、少しだけ立ち止まって考えたいのは、そもそも、なぜ痛みが出ているのかということ。痛みは多くの場合、体からのサインとして出てきます。「ここに無理がかかっているよ」という合図ですね。

そのサインを痛み止めで無理やり消して、大もとの原因はそのまま放置する——これを続けていくと、原因のほうはどんどん進んでしまうことがあります。痛みが消えて楽になった一方で、体の内側では問題が育っている。そう考えると、「痛みを消す」ことと「原因を読む」ことは、分けて考えたほうがいいのです。

もちろん、痛みをただ我慢するのがいい、という話ではありません。我慢し続けるのも、無理やり消し続けるのも、どちらも根本の解決にはならない。だからこそ、「この痛みは、何を教えてくれているんだろう?」と一度目を向けてみることが大切なんです。

頭痛・腰痛・生理痛・不眠…実は「根っこは一つ」かも

番組で盛り上がったのが、いろんな不調が、実は一つの根っこでつながっているかもしれない、という話です。

頭痛、肩こり、腰痛、生理痛、そして不眠。一見バラバラに見えますよね。でも、その多くの背景に、「過緊張」——つまり、交感神経がずっとオンのまま、休まらない状態があることが少なくありません。

何かのプレッシャーがかかりすぎて、体がずっと緊張して硬くなっている。それが、ある人には頭痛として、ある人には腰痛として、ある人には生理痛や不眠として出てくる。出てくる場所は違っても、大もとは同じかもしれない、というわけです。

これは、健康経営の世界でも大きなテーマです。痛みや不調を抱えたまま出勤して働く状態は、本人がつらいだけでなく、生産性も大きく下がる。それが積み重なると、社会全体では相当な損失になる、という言われ方もします。「たかが頭痛」ではないんですね。

なぜ体は休まらないのか 〜エネルギーという視点〜

「じゃあ、その過緊張はどこから来るのか?」。ここに栄養の視点を重ねると、面白い見方ができます。

環境やストレスが原因のこともあります。でも分子栄養学の観点では、もう一つ、「エネルギー不足」という背景が指摘されることがあります。

私たちの体は、細胞の中のミトコンドリアという“発電所”でエネルギーを作っています。ここがうまく働いていないと、体は必要なエネルギーを別の形でひねり出そうとする。その一つが、交感神経を興奮させて、無理やりエンジンを回すやり方です。つまり「休みたくても休めない」状態の裏に、エネルギーをうまく作れない体が隠れていることがある、というわけです。

そして、これが行き過ぎると、夜になってもスイッチが切れず、眠れない(不眠)につながる。さらに、睡眠の質が落ちると神経が過敏になり、痛みを感じやすくなる。頭痛や生理痛がつらい人が、忙しくて睡眠不足だった、というのは、実はよくある組み合わせなんです。痛み・過緊張・不眠は、ぐるりと輪のようにつながっています。

オフへの切り替え方 〜「10分」から始める〜

では、どうやってこの緊張をゆるめるか。じゅんこさんは、「平日は入浴とストレッチくらいしかできない」と話していました。夜に帰ってご飯を食べてお風呂に入ったら、もう寝る時間。多くの働く人が、同じではないでしょうか。

私自身は、ランニングマインドフルネス(瞑想)でオフに切り替えています。ただ、瞑想って「やりたいけど、なぜかできない」ものなんですよね。やることの多い人ほど、「瞑想するくらいならメールを返そう」「メールするくらいなら寝よう」となってしまう。よく分かります。

まずは「10分」だけ

私が参加している経営者のコミュニティでは、5分のストレッチ+5分の瞑想=合わせて10分を、みんなで一緒にやっています。この10分を確保できるだけで、そのあとの集中力が上がり、睡眠の質も上がって、夜中に目が覚めにくくなる。忙しい現代人にこそ、こういう小さな切り替えの習慣が効いてきます。

ちなみに、マッサージや鍼に通う、美味しいもので一息つく——それも立派なリセットです。ただ、そこにはお金もかかります。仕事で生まれた不調を、自分のコストで解消し続けるのは、なかなか大変。だからこそ、無料でできる入浴・ストレッチ・10分の切り替えを、まず土台にしたいところです。

「いい薬」だからこそ、上手に付き合う

ここで、大事なおはなし。痛み止め(NSAIDsと呼ばれる種類)を常用するときに知っておきたいことです。

飲み続けると、胃腸に負担がかかりやすくなるのはよく知られています。「痛み止めは多めの水で飲んでください」と言われるのも、このためですね。加えて、腎臓への負担もあります。腎臓の働きが落ちている方では、そもそも使えない(禁忌になる)痛み止めもあります。

特に高齢の方の「飲み合わせ」に注意

血圧の薬・利尿の薬・痛み止めの3つが重なると、腎臓に大きな負担がかかる組み合わせとして知られています。市販薬でも、複数の薬を飲んでいる方は、痛み止めを足す前に、ぜひ薬剤師に相談してください。

こう書くと痛み止めが怖い薬に見えるかもしれませんが、そうではありません。ここぞという時にしっかり効く、とても優れた薬です。だからこそ、普段からバンバン使うのではなく、「ここぞ」で活かせるように取っておく。そして、なるべく痛み止めに頼らずに済むよう、体を整えていく。この順番が大切だと思っています。※もちろん、状態によっては痛み止めを毎日使わなくはいけない場合もあります

手に入りやすくなる時代だからこそ

もう一つ、時代の話を。よく使われる痛み止めの成分は、これまで薬剤師でないと販売できませんでしたが、より手に入りやすくなる方向で制度が動いています。将来的には、身近なお店でも買いやすくなっていくかもしれません。

手に入りやすくなるのは、便利でいい面があります。一方で、使い方の知識が追いつかないまま手軽に使えてしまうのは、リスクにもなり得ます。だからこそ、これからの時代は、一人ひとりが健康の知識を持ち、それを使いこなす力が、自分の体を守るうえで欠かせなくなってきます。

「痛み止めを飲みながら働くのって、大丈夫?」というじゅんこさんの問いは、まさにその入り口。痛みを消す前に、その痛みが何を教えてくれているかに、少し耳を傾けてみる。 そんな一歩が、これからますます大切になっていくと感じています。

注意点

  • この記事は一般的な情報をお届けするものです。特定の医薬品の効果・優劣や、使用の可否を保証・断定・推奨するものではありません。
  • 痛みが続く・強いとき、市販薬でしのぎ続けているときは、我慢や自己判断を重ねず、医師・薬剤師にご相談ください。
  • 持病のある方(腎臓・胃腸の疾患など)・妊娠中の方・治療中の方、複数の薬を飲んでいる方は、市販の痛み止めを使う前に必ず専門家へご確認を。
  • 痛み止めを自己判断で急にやめる・量を変えることも、体調に影響することがあります。変更は専門家に相談のうえで。

おわりに

痛み止めを否定したい回ではありません。むしろ、いい薬だからこそ上手に付き合いたい、という話でした。頭痛や腰痛、生理痛を「当たり前」にして走り続けている方に、「その痛み、体からのサインかもしれませんよ」と、そっとお伝えできたらと思います。

「私はこうやって痛みと付き合っている」という工夫や、聞いてみたいテーマがあれば、ぜひ感想で教えてください。次回の番組づくりの参考にさせていただきます。

ポッドキャスト『サブスクサプリ屋 〜不調改善ラジオ〜』

薬剤師の「なおさん」と聞き手「ゆんさん」が、日々の“なんとなく不調”を栄養と生活習慣の視点でやさしく語る番組です。今回の痛み止めの回も、医師のじゅんこさんをゲストにお届けしました。耳からもぜひどうぞ。

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免責:本記事は一般的な健康情報の提供を目的としたもので、特定の医薬品の効果や優劣を保証・推奨するものではなく、診断・治療に代わるものではありません。痛み止めをはじめとする医薬品の使用・中止・変更は、必ず医師・薬剤師など専門家にご相談ください。痛みが続く・強い場合は、我慢や自己判断を重ねず、医療機関を受診してください。