梅雨の時期は、なんだか頭が重い。体がだるい。気分まで沈みがち――。SNSでも「最近ずっと体調が悪いけど、みんなもそう?」という声をよく見かけます。
いわゆる気象病です。天気の崩れとともにやってくるこの不調を、私たちはつい「毎年こんなもの」「梅雨だから仕方ない」と受け流してしまいがちです。
ポッドキャスト『サブスクサプリ屋 〜不調改善ラジオ〜』第3回で、聞き手のゆんさんから「気象病、どうしたらいいの?」という“あるある”をぶつけてもらった回をもとにまとめました。結論から言うと、カギは「効くサプリ探し」ではなく、毎日の食事の土台にあります。
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「気象病に効くサプリ、ありますか?」への私の答え
現場でもよく聞かれる質問です。でも正直にお伝えすると、「これを飲めば気象病はOK」という魔法のサプリは、基本的にありません。
がっかりさせてしまったかもしれません。でも、これには理由があります。
サプリメントとお薬は、はたらき方が大きく違います。お薬は「その部分だけを、いわば力技で動かす」イメージ。一方でサプリメント(栄養)は、体のあちこちのチームワークを底上げしていくものです。栄養素は単独ではたらくのではなく、いろいろな細胞や成分がチームで支え合って、はじめて体は元気に傾きます。
だから、「気象病にはこれ」という正解はなく、「Aさんに合うもの」「Bさんに合うもの」はまったく別。その人が何を不足させ、どんな生活を送っているかを見なければ決まりません。そしてもう一つ、私が大切にしているのは、「何を摂るか」より先に「何を摂らないか」という視点です。
カギは自律神経。でも現代は「オフに切り替えにくい」
気象病の原因はまだはっきり解明されていませんが、深く関わっていると考えられているのが自律神経です。
自律神経は、自分の意思ではコントロールできない神経で、アクセル役の交感神経とブレーキ役の副交感神経が切り替わりながらはたらいています。ところが今、この切り替えがうまくいかない人が増えていると言われます。
思い当たりませんか。スマホがいつも手元にあり、LINEはすぐ返さないと落ち着かない。「オン」のまま「オフ」に切り替えられない――。これはまさに現代ならではの環境です。自律神経は自分でオン・オフできないぶん、生活習慣や環境の影響をとても受けやすい。だからこそ、自律神経に余計な負担をかけない工夫が大切になります。
そして、その工夫として意外なほど効いてくるのが「食事」なのです。
見落とされがちな“血糖値の乱高下”と自律神経
食事の中で自律神経に影響を与えやすいもの。その代表が血糖値です。
血糖値が急に上がって急に下がる「血糖スパイク」は、体に負担というイメージが広がってきました。でも、その乱高下が自律神経にも影響していることは、まだあまり知られていません。
たとえば、多くの人がやってしまう組み合わせがあります。コーヒーと一緒に甘いもの。実はカフェインにも血糖値を上げる方向のはたらきがあり、そこへ甘いものが加わると、血糖値がぐっと上がりやすくなると言われます。 
さらに厄介なのが夜です。夕食やお酒で血糖値が乱高下したまま眠ると、寝ている間に血糖値が下がりすぎることがあります。すると体はアクセル役の交感神経を働かせて立て直そうとする。交感神経には胃腸のはたらきを抑える面があるため、朝になっても食欲が出ない。運動中にお腹が空きにくいのと同じ理屈です。
朝食を抜くか、コーヒーと菓子パンで済ませる。するとまた血糖値が乱高下し、また交感神経が優位になって食欲が出ない……という負のループに入りやすいのです。
▲ 血糖値の乱高下→交感神経が優位(胃腸の働きが低下)→朝、食欲が出ない→朝食を抜く・菓子パンで済ませる→再び乱高下、という循環図
夏・梅雨に増える「かんたんに食べられるもの」の落とし穴
梅雨から夏にかけては、暑さや不調で食欲が落ち、ついさっと食べられるものに手が伸びます。アイス、菓子パン、そうめんや麺類――。
気持ちはとてもよく分かります。ただ、麺類はご飯に比べて噛む回数が少なく、体に入るのが早いぶん血糖値も上がりやすい傾向があります。そうめんだけ、という食べ方は、実は血糖値の乱高下を招きやすいのです。
とはいえ「絶対ダメ」ではありません。たとえば食べる順番を変え、麺は最後に少しにする。具やタンパク質のおかずを先に食べる。それだけでも、上がり方をゆるやかにする助けになります。

▲ つい選びがちな「かんたんに食べられるもの」(アイス・菓子パン・麺類)と、食べる順番(おかず・タンパク質→野菜・汁物→麺やごはんは最後に少し)で上がり方をゆるやかにする工夫
土台になるのは「タンパク質」
では、何を食べるとよいのか。私がまずおすすめしたいのは、タンパク質を中心にした食生活です。
気象病になっていなくても、なりかけかな、と感じる人ほど、ここを整える価値があります。タンパク質はアミノ酸がたくさん集まってできています。そのアミノ酸は、脳内の神経伝達物質やホルモンの材料になります。材料が足りていると、頭がスッキリしやすく、ホルモンのバランスも整いやすい。結果として、自律神経の負担も軽くなりやすいと考えられます。
「足りないならプロテインを足せばいい?」とよく聞かれます。上手に使うのはよいのですが、プロテインだけで補おうとするのは注意が必要です。液体に近いプロテインは一気に入るぶん、大量だと消化しきれず、そのまま腸に負担をかけてしまうことがあります。普通の食事の代わりにはなりにくいのです。よく噛んで消化のはたらきを助けながら、食事からとることを土台にしてください。
まとめると、ベースは二つ。血糖値の乱高下を防ぐことと、タンパク質をしっかりとること。この土台を整えたうえで、それでも足りない要素を、その人に合わせてサプリメントで“上乗せ”していく。この順番が大切だと考えています。
「自分がダメ」ではなく「食事のせいかも」
私がこの話をいちばん届けたいのは、こんな人です。
「こんなに疲れやすいなんて、自分は社会不適合なんじゃないか」「みんな普通に働けているのに」――そう自分を責めてしまっている人。
でも、あなたのせいではなく、食事や栄養のせいかもしれません。食べ物を整えて、しっかり働ける自分に近づいていく。これは、とても前向きな「健康への投資」だと思うのです。
無理をする必要はありません。「体に負担になりやすいもの」は嗜好品と割り切り、本当に楽しみたいときだけ味わう。普段は、自分の体をいたわる選択をする。その使い分けができれば十分です。私たちの体は、続けている生活習慣で少しずつ形づくられていきます。だからこそ、できる範囲から、まずは食事を見直してみてください。
こんなときは、医療機関へ
- 強い頭痛、高熱、息苦しさ、急な体調の変化があるとき
- 症状が長く続く、だんだん悪くなっているとき
- 持病があり、お薬を服用中のとき
こうした場合は、自己判断せず、医療機関を受診してください。天気による不調がつらく、日常生活に支障が出ているときも、一度ご相談を。「受診したほうがいいか迷う」段階のご相談も歓迎です。
まとめ──「梅雨だから仕方ない」を、一度立ち止まって
- 「気象病に効くサプリ」を探す前に、まず食事の土台を見直す
- カギは自律神経。負担を減らすには、血糖値の乱高下を防ぐことがポイント
- コーヒー+甘いもの、夜の乱高下、朝食欲が出ない負のループに注意
- 土台はタンパク質(よく噛んで食事から。プロテインだけに頼らない)
- 自分を責める前に、「食事のせいかも」と考えてみる
「毎年こんなもの」と受け流してきた不調も、一度立ち止まると、付き合い方が変わるかもしれません。まずは、できる範囲のひとつから始めてみてください。
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*※本記事・本番組は、栄養や生活習慣の視点から日々の体調と付き合うヒントをお届けする一般的な情報提供です。特定の疾患の診断・治療・予防を目的・保証するものではなく、医師の診断・治療に代わるものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関にご相談ください。*




















